第16章 Forever Love
ー翔sideー
ピッ…ピッ…
病室に響く機械音。
それと同時に聞こえるシューシューという酸素吸入機の音。
舞「やっぱりここに居たお兄ちゃん。怪我してるんだから病室戻ろう」
俺を探しに来た舞が病室に入って来る。
「………」
俺は何も言わずに首を横に振った。
「………雅紀の側に居る」
舞「お兄ちゃん。まだ歩くなって言われてるでしょ」
「目が覚めた時俺が側に居たいから…ここに居る」
舞「………」
観念した様に、舞は俺の隣に座った。
あの日からあっという間に10日が過ぎた。
直後はワイドショーのトップニュースで扱われた俺達の事件も…今では落ち着きを取り戻している。
でも…俺達の時間は…あの日から止まったまま動かない。
揉み合いながら落ちていった2人。
目撃者の話では…落ちていく時もあいつは雅紀を下に首を絞めようとしていた。
でもギリギリで…体勢が変わり、あいつが下敷きになりアスファルトへと叩きつけられた。
あいつは頭部を強く打ち…数時間後に息を引き取った。
雅紀は…あいつが下敷きになってくれたお陰で…一命を取り止めた。
けれど…腹部への刺し傷が深かった事。
落ちた時の頭部へのダメージで…未だに意識は戻らない。
目の前には…沢山のチューブを付けられた傷だらけの雅紀が…横たわっている。
医者の話では…意識が戻る可能性は…極めて低いと、まだ予断は許さない状態だとそう告げられた。
舞「足大丈夫?」
「こんなの…平気だ。雅紀の怪我に…比べたら」
舞「………」
『絶対守るから』
最後に雅紀が言った言葉を思い出す。
「………全然…嬉しくない」
雅紀の手を強く握り締める。
「ずっと…一緒に生きてくって決めただろ。何で…。こんな事してもらっても俺はちっとも嬉しくないよ。雅紀!」
舞「お兄ちゃん」
「置いてくなよ…雅紀の居ない世界になんて置いてくなよ!だから起きて…目覚ましてよ雅紀っっ!!」
舞「お兄ちゃん…!」
舞が泣きながら俺の背中に抱き付く。
「雅紀…雅紀っっ…起きて…」
俺は立ち上がり何度も雅紀の身体を揺さぶり続けた。