第15章 対峙
「行ってらっしゃい」
舞「行って来ます」
舞の隣に車の鍵を持った雅紀が立つ。
「気をつけてね」
雅紀「うん。じゃあ舞ちゃん送ったら仕事行くから」
「うん」
2人が出て行くと鍵を閉める。
「ふぅ…」
掃除でもしようかと掃除機を手に取る。
雅紀からの提案でこれから暫くは舞の送り迎えを雅紀がしてくれる事になった。
舞は大丈夫だと言ってたけど…「何かあってからじゃ遅い」と…そう言ってくれた。
本当に…この状態がいつまで続くんだろう。
雅紀はもう来ないって言ってたけど…そうは思えない。
いつかこの自宅もはバレるかもしれない。
その時俺は…舞を守れるだろうか。
あの時とは違う…。俺は大人になった。
身長も…腕力も、格段に伸びてる。
でも…思い出すのは…あの日々。
何度も身体を奪われ…目の前で初対面の男達に身体を売らせられた日々。
思い出すと…恐怖と不安が俺を支配されそうになる。
でも…今は。
雅紀が居る。雅紀の家族が居る。
俺は…1人じゃない。
だから…戦える。
命を懸けても…舞を守れる。
そう誓える。
でもまさか…あんな事になるなんて…。
悲劇は…すぐそこまで迫っていたんだ…。