第14章 15年前の真実
舞「にいちゃ…にいちゃ…」
あいつが出て行った後も…俺の腕の中で舞は震えていた。
「舞大丈夫だよ。兄ちゃんが居る。怖かったね…もう大丈夫だから」
舞「ん…」
「大丈夫だから。兄ちゃん一緒だよ。ねんねしようか」
そのまま寝室に入り、俺は舞を寝かし付けた。
「………」
寝室を出た後、俺は一階に降り、母さんの居る仏壇に向かう。
「母さん…」
静かに…手を合わせた。
「母さん…俺が…俺が舞を守るから。命を懸けても…あいつから守る。だから…見守ってて」
そして目の前にある位牌を手に取り、そっとタオルに包んで自分の部屋に戻りながら…俺は携帯から電話を掛けた。
「もしもし?警察ですか?あの…父が。父が…薬を持ってる所を見たんです。コカインと言ってました。はい…はい。今は居ません。出て行きました。はい…はい…お願いします」
電話を切り、俺は荷物をまとめた。
これで終わりにしよう。
もうあいつは父親じゃない。
あいつとは…もう二度と会いたくない。
俺は大きな決意を胸に…眠る舞をそっと抱き上げた。