第14章 15年前の真実
悪夢の様な時間だった。
それまで…そういう行為とは無縁で生きて来た。
当たり前だ。まだ俺は…その時13歳だった。
泣いても叫んでも…誰も助けてくれない。
覚えてるのは…初めて経験する痛み。
耳元で聞こえる荒い息。お酒の匂い…。
俺の…初めてを奪った義理の父親は…その後そのままいびきをかいて眠っていた。
一晩だけの悪夢だと…。
そう言い聞かせながら…部屋に戻った。
でも現実は…そうでは無かった。
「いっ、たい…!痛いっっ!父さん痛いっっ…!」
翔父「はぁっ…はぁっ…うるさい…」
「止めてっっ…もうやだっっ…!」
母さんが死んで…酒の量が増えた父さんは…泥酔する度に俺の部屋にやって来た。
翔父「陽子…陽子っっ…」
俺を抱きながら…いつも母さんの名前を呼んでいた。
父さんも…辛いんだと…。
今耐えてれば…元の優しかった父さんに戻ってくれる。
そう思っていた。
思わないと…この現実には耐えられなかったから。
でも…俺のその願いは…直ぐに粉々に崩されたんだった。