第10章 対面
「はぁ…腰痛い…」
腰を叩きながら俺は夕飯の支度をした。
勤務時間ギリギリまで太一さんに拘束され…抱かれては休み、抱かれては休みの繰り返し。
最後の方はただ寝てただけだったけど。
太一さん…。
最近束縛が強くなってきたのは気のせいかな…。
店長に相談しようかな…。
「あー痛い…」
腰を叩いてると玄関の開く音がする。
俺は玄関に向かった。
「おかえりなさい」
雅紀「ただいまーお、グラタン?」
「当たり♪」
雅紀に抱き締められ、背中に手を回す。
「工事現場何時から?」
雅紀「20時から」
「じゃあ急いで準備するね?」
雅紀「うん」
俺は一足先にキッチンに向かおうとしたが雅紀に腕を掴まれる。
「雅紀?」
雅紀「何か歩き方変…」
「え?」
雅紀「腰どうかした?」
「あ、いやちょっと…」
………理由なんて言えない。
俺が何て言おうか迷ってると雅紀はそのまま俺の手を引いてリビングに向かった。
俺をソファーに座らせると棚にある救急箱を持ってきた。
雅紀「湿布貼るからそこ寝て?」
「あ、うん…ありがとう」
横になると俺のシャツが腰まで捲られる。
そしてひんやりと気持ちいい感触がした。
雅紀「………太一先輩?」
「………え?」
雅紀「今日行くって言ってたから…」
「………うん…」
嘘は付けずに俺は静かに頷いた。
「………勤務時間ギリギリまで拘束されてて…『大きな仕事やってるから疲れてる』って…」
雅紀「………確かに…太一先輩頑張ってるもんな」
「………」
雅紀「よし。これで大丈夫かな」
「ありがとう」
ゆっくりと起き上がり、俺はそのまま雅紀に抱き着いた。
「………好き…雅紀大好き…」
雅紀「………俺も大好きだよ…」
「………ごめんね…」
雅紀「大丈夫」
少し身体を離し、優しくキスをされた。
雅紀「もう少し…頑張ろう。後…2年あれば…きっとお金貯まる。それまで頑張ろう」
「………うん」
雅紀「お金…返したらさ…千葉に行かない?」
「千葉?」
俺は驚いて目を丸くさせていると、雅紀は静かに俺の髪を撫でた。