第10章 対面
松岡「ではそれでこの案件は進めていきましょう」
国分「はい」
「はい」
松岡さんが資料を鞄に直し、席を立った。
国分「では次回は来週ですね」
「そうですね。お待ちしてます」
会議室を出たエレベーターの前で、俺達は松岡さんを見送った。
「はー…とりあえず第一段階は成功で良かったですね」
国分「本当だなぁ。相葉ありがとな」
「いえ。太一先輩のお陰です」
国分「しかし…良い男だな」
「そうですね」
国分「あの風貌じゃ男にも女にもモテそうだなぁ。しかもあの年で課長だと。噂じゃ会社で過去最速のスピード出世らしいぞ」
「へぇ…太一先輩詳しいですね」
話しながら俺達は休憩室に行き、コーヒーを飲みながら話した。
国分「まぁな。でも聞いた話じゃ奥さんと離婚調停中らしいぞ」
「マジですか」
国分「噂なんだけどさ…奥さん、元カノから松岡さん奪ったらしいんだよ計画妊娠らしくて。でも結婚したは良いけどその元カノとも続いてたらしくてな。それがバレて別れるらしいよ」
「うわぁー…それ本当なんですか?」
国分「あっちの会社知り合いがいるんだよ。そこの女子社員が奥さんの友達?らしくてさ…あれ?奥さんも元社員だったっけ?それで奥さんがそう言ってたって…」
「女って怖いですね…別れたらどこにそんな情報が漏れるか分かんないなぁ」
国分「そうなんだよなぁ。まぁ彼女居るのに他の女に手出す松岡さんもそうとうタラシだよな。まぁでも俺もあんなルックスだったら遊び回ってるかも」
「ははっ」
国分「ショウだってすぐに堕とせたかもなぁ…」
「………」
国分「あー思い出したら逢いたくなったな。今日お店行こうかな」
「………」
缶コーヒーを持つ手に力が入る。
国分「でも週末だからな…客多いからショウも指名多いだろうな…相葉お前も行く?」
「あ、いや…俺は大丈夫です」
国分「そっかぁ…相葉はハマらなかったな娼舘」
「そう、ですね…」
ハマってるよ…ショウに。
ショウは俺の恋人なんだよ。だから俺の前でその話するなよ。
そう叫びたい気持ちを必死に押さえながら俺は無理矢理笑顔を作った。