第10章 対面
ー翔sideー
目が覚めるとそこに雅紀はなく、俺はベッドで1人で眠っていた。
時計を見るとまだ8時前。
まだ出勤前なのに…。
すると寝室の扉が開き、雅紀が入って来る。
雅紀「おはよう」
「………おはよう」
雅紀「お粥作ってたんだ。食べられそう?」
「うん…」
雅紀「じゃあ起きようか」
枕を腰に当てて起こしてくれた。
雅紀「ふーふー…」
「ま、雅紀…自分で食べられるよ?」
雅紀「大丈夫。やらせて?はい、あーん」
レンゲにお粥をすくい口元に運ばれてくる。
俺は口を開け、お粥を食べた。
「ん…美味しい」
雅紀「良かったぁ」
笑顔で雅紀はお粥を食べさせてくれた。
「ありがと雅紀…」
雅紀「大切な恋人が体調崩したら誰だって心配するし看病するでしょ」
「………嬉しい…」
雅紀「喜んで貰えて俺も嬉しいよ。でもさ、今度からは具合悪かったら酷くなる前に連絡して?迎えに行くからさ」
「うん。ごめんね」
雅紀「あ、そろそろ会社行かなきゃ」
緩めたネクタイを締めながら立ち上がる雅紀の手を俺は反射的に握った。
雅紀「ん?」
「………行く前に…ぎゅってして…」
雅紀「ふふっ、良いよ甘えんぼさん」
ベッドに座り直し、雅紀が優しく俺を抱き締めてくれる。
「………愛してる…雅紀…」
雅紀「俺も愛してるよ」
「離さないで…俺を」
雅紀「離さないよ」
「………俺の事…捨てないで…雅紀の事愛してる…雅紀しか居ない…俺頑張るから…だから別れないで…」
雅紀「ちょ、何言ってんの。翔」
雅紀が両手で俺の顔を挟み、上を向かせる。
雅紀「付き合う時に言ったよね。翔が最後の人だって。俺は絶対に君を離さない」
「うん…」
雅紀「だから翔は安心して俺に愛されてて?」
「雅紀…」
雅紀「信じて?」
「うん…。雅紀…雅紀も…信じて…俺は…何があっても雅紀だけ愛してる…雅紀じゃないと駄目だって…」
雅紀「………もちろん信じるよ」
唇に降りてくる雅紀の唇。
俺は雅紀にしがみつき、時間ギリギリまで雅紀に甘えた。