第9章 tragic love②
俺の就職祝いにと連れて行ってくれたラルフ・ローレン。
そこで一通りスーツを揃えて貰った。
もうあの頃は…昌宏さんに片想いしてたんだよな…。
その後昌宏さんの家でステーキ食べて…。
「あのステーキ美味しかった」
松岡「そうか?」
「うん」
松岡「肉が良かったからなぁ…」
「昌宏さんの腕が良いんだよ」
松岡「そうか。ありがとう」
「覚えてる?初出勤の日…昌宏さんお店に来てくれたよね」
松岡「………覚えてるよ」
「帰り…キスしてって…」
松岡「言ってたな」
「上手くはぐらかされて…」
松岡「………本当はパニックだったんだよ」
「そうなの?」
松岡「俺だって…お前の事好きだった。でも認めるのが嫌だった。中坊みたいな気持ち…」
「………」
松岡「そのせいで…お前を酷い目に合わせた…本当すまない」
「でも助けに来てくれた…好きだって…言ってくれた…嬉しかったよ」
松岡「………」
部屋に流れる沈黙。
俺は残ったワインを一気に飲み干した。
松岡「………翔」
「ん?」
松岡「………おいで」
見ると昌宏さんが俺に片手を伸ばしていた。
「………」
俺はその手を握り立ち上がり、彼の前に立った。
「………昌宏さん…」
松岡「ん?」
「………俺の事…本気で愛してた?俺が…俺が昌宏さんの事愛してる…その10分の1でも…愛してた?」
俺の瞳からこらえていた涙が出て来る。
松岡「馬鹿…何言ってんだ」
手を握り昌宏さんが真っ直ぐ俺を見つめる。
「こんなに誰かを本気で愛した事無い。翔…お前だけだ。10分の1なんかじゃない。10倍愛してたよ」
「………っっ…本当に…?」
松岡「気持ちが無くなった訳じゃない。愛してるよ…今でも」
「………ずるい…」
松岡「ごめんな…ずるくて…」
そのまま引き寄せられ、唇が重なる。
そのまま俺は…ベッドに沈められた。