第8章 tragic love①
ー翔sideー
「うーん…」
目を覚ますと、肘を付いて俺を見つめる昌宏さんの顔が目の前にあった。
松岡「おはよお姫様」
「お、おはよ…」
松岡「顔真っ赤」
クスクス笑いながら昌宏さんは俺を抱き締める。
松岡「幸せな正月だなぁ…」
………そっか…今日はお正月…。
松岡「明けましておめでとう。翔」
「明けましておめでとう。昌宏さん」
昨日の情事が甦る。
初めて…セックスをした。
ただ挿れられ、相手が満足するのを待つだけの行為が…初めての愛と快感を与えられ、その意味を知った。
繋がる事の幸福感と…目が覚めた時に愛する人が隣に居る満ち足りた気持ち。
今までに無い。
昌宏さんが教えてくれた。
愛してくれた。
「昌宏さん…」
松岡「ん?」
「ありがと」
松岡「………俺こそありがとう。これからも…ずっと仲良くやっていこうな」
「………うん!」
松岡「よし、翔。雑煮食うか?」
「うん!」
松岡「じゃあシャワー浴びて…それからだな」
「はぁい」
昌宏さん…俺幸せだったよ。
あの頃の俺達は…信じて疑わなかった。俺達の愛を。
でもあの事が起こってから…。
俺達の関係は…おかしくなっていったんだよね。