第12章 女の子は甘いものがお好き(十四松)
バランスが崩れて家の玄関に二人で凭れかかった。
十四松君が私の上に乗り掛かる。
所謂床ドンと言うやつだ。なんだか妙に照れくさい。
「うっ……ててて」
十四松「あっ…!○○ちゃんっ!ゴメンね?」
十四松君が心配そうに私の頬を撫でる。
その瞳は、赤く、泣き腫らしたようだった。
風が吹き、十四松君に見つめられる時間が、妙に長く感じた。
「っ…!そうだ、どうしたの?十四松君?」
十四松「…………」
十四松君は黙ったまま、わたしの目を見つめ続ける。
その顔は、無邪気ないつもの十四松君じゃなく、真剣な一人の男だ。
十四松「……鈍感すぎ、何で?」
「えっ?」
十四松「僕が嫌いな女の子に、こんなことするわけないでしょ?」
そういうと、十四松君は私のパジャマのボタンを一つ外した。
「えっ……!?」
十四松「静かに」
かと思うとボタンを外されたのは一個だけで私の鎖骨下がうっすら見える程度だ。
そこに十四松君の頭が埋まる。
「いっ……た」
鎖骨下に微かな痛みが走り、十四松君が此方を向いた。
十四松「えへへ~僕の印だよ、○○ちゃん!」
そのへにゃりと笑う笑顔はいつもの十四松君そのものだった。
僕の…印……?
慌て立ち上がり、玄関前にある鏡で自分を確認した。
「あっ………」
私の鎖骨には、赤い十四松君の印がつけられていた。