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ある一週間のこと

第7章 七日目




「フィル! もう夕方よ! 起きて起きてー!」


外からミリィちゃんの元気な声が聞こえてくる。一緒にドアを叩くドンドンという音もしてくるけど、朝……というか昼や夕方頃に弱い僕にとってはかなり頭に響く。
うぅ……ミリィちゃんはいつも元気だなぁ。

よろよろとベッドから抜けると、玄関に向かって情けない声で「起きたよー」と言った。


「鍵開けてフィルっ。今日も仕事でしょう? 食事を作ってきたから、食べて!」

「は、はーい……」


横に置いてあった頭を首の上に載せると、そのままおぼつかない足取りで、玄関のカギを開ける。
ミリィちゃんが淡い水色のワンピースを着て立っていた。手には大きめの白いお皿があり、その上には綺麗に三角形に切られているサンドイッチが載っていた。


「おはよう、今日も凄くいい天気だったわ。ほら、あんなに夕日が大きくて綺麗よ。あっ、早くシャワーに入ってきてね。あと服に着替えて、仕事の荷物を準備しないと。さっきジェイさんとすれ違ったんだけど、今日はちょっと早めに来て掃除を手伝ってほしいって言ってたわよ。だから早くお願いね」


早口でまくしたてたミリィちゃんは、お皿をテーブルの上に載せて、カーテンを開ける。そして僕のベッドの布団とシーツをしわ一つなくピシッと伸ばす。

窓越しに見える夕日は確かに綺麗だった。ゆらゆらと輪郭が陽炎のようにゆらめいて、広大な海にオレンジ色のシーツを広げている太陽に、僕は一瞬だけ心奪われる。

でも、すぐにミリィちゃんの「さあ、早く!」という声にハッと意識が戻り、慌ててシャワールームに駆けこむ。熱めのお湯を浴びていると、思わず大きなため息が出た。
また僕はミリィちゃんに世話されてるなぁ。

髪を乾かして、キッチンに行き、ミリィちゃんの用意したコーヒーとサンドイッチを食べる。そしてすぐに荷物を持つと、ミリィちゃんと一緒に部屋を出た。


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