第36章 とりっくおあ…
翌朝…和が風呂に入ってる間に朝食をルームサービスで用意してもらう。
すっかり普段通りの格好に戻った俺たち。
いくらお忍び力があるとはいえ、ばれるリスクは最低限に留めたい。
なので、ワゴンを外に置いてもらうことでなんとか接触を避けた。
電話の声である程度はバレてると思うけど、それを敢えて言うようなことはしないだろうから…。
「あっ、いい匂い。
お腹すいちゃった」
和が髪の毛をガシガシと拭きながらテーブルのところに歩いてくる。
「ゆっくり出来た?」
「うん!ありがとう翔ちゃん。
あっ、手伝うよ」
普段の俺たちの朝…。
結局変わらない。
非日常を味わいにきたはずなのにそこにあるのは日常。
でも…これが俺たちらしくていいのかもしれない。
「和…楽しかった?」
「もちろん!」
キラキラひかる笑顔はお菓子みたいに甘い。
トリック・オア・トリート…。
たまにはこんなイタズラもいいかもね?
だってこんな甘いお菓子がもらえるんだから…。
【END】