第29章 大野智氏の(意味有りげな)微笑
ゲストありの部分の収録が終わって一旦、楽屋に戻った。
「このあとって…」
翔ちゃんがディレクターにこのあとの撮りの内容について聞いてる。
何やるんだっけ?って思ったけど…ドラマの撮影が立て込んでてちょっとの間でも寝たい僕は気にせずソファーを占領して寝そべった。
翔ちゃんが「え?智くんの?」って言ってるのが聞こえたけど…。
僕のコーナーか…いつの回だろう…撮り溜めるからわかんないや…。
「智くん…起きて?そろそろ時間だよ?」
ん?翔ちゃん?
まだ寝たいんだけど…。
ん?柔らかい感触が唇に触れる。
気になって目を開けるとゼロ距離で翔ちゃんの顔があった。
「起きた?ほら、行くよ?」
「んんー行かなきゃダメ?」
「ダメに決まってるでしょ?
次のコーナー、貴方のコーナーだって」
そう言われて最近、行ったロケを思い出した。
もしかして…あれ?
思い出したそのロケにちょっとイラっとした。
でもそんなこと見せたくないからちょっと甘えてみる。
「むーん、じゃ、もう1回キス」
そう言う僕に、しょうがないなぁって顔をしながらそれでもキスしてくれた。
それだけで機嫌がよくなる僕は随分簡単だと思う。
でもさ…僕だって嫉妬もするし、独占したくなることもだよ?
わかってる?翔くん…。