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絶対絶望壮年 ーカムクラといっしょー

第3章 出会い






「……すまない。助かったよ、ありがとう」
瓦礫の山から無事解放された暁が立ち上がり、カムクラに深く頭を下げた。
「で、この「殺すリスト」とは何だ? 君は知っているのか」
紙を見つめながら暁はカムクラに問いかける。
「別に……僕だって詳しく知っているわけではありません。明確なのはただ、コドモがあなたを殺しに来るというだけの事です」
「そうか、それは危ないな。どうにかしてこの街から出なければ……」
暁は言いかけて、ハッとしたようにカムクラを見た。
「そう言えば、君の着ているスーツを見て思ったんだが君はもしかしたら未来機関の一員ではないか?」
「いいえ、生憎僕は未来機関に属してはいません」
「違うのか。未来機関ならば支部に案内してもらおうかと思ったんだがな」
暁は短く溜め息を吐いた。
「未来機関と合流したいんですか?」
「あぁ、途中で拾ったファイルに私の娘が未来機関に所属したと書いてあったんだよ。だから安否を確かめたくてね」
暁は懐から黒いファイルを取り出すとカムクラに渡した。
「未来機関には良い噂もあるが悪い噂も有名だからな。もし本当に悪い機関ならば、私は無理矢理にでも娘を脱退させる気だ」
熱っぽく語る暁を一瞥もせずにカムクラはファイルを開く。
――以下、生き残り7名が未来機関に保護され、そして未来機関に所属した。〈苗木誠 霧切響子 十神百夜 腐川冬子 葉隠泰広 朝比奈葵 希灯誉稀〉――
「あなたの娘というのは………」
「同じ名字じゃないんだ。訳有りというものだな……ちなみにこの子が私の娘だ」
ファイルの顔写真を指差し、暁がカムクラに示した。
「…………」
カムクラは「希灯誉稀」という名の少女の画像を見つめる。
それから、細く息を吐いてファイルを閉じた。
「……行きましょうか」
「え……何処にだ?」
「この街の外に出たいんでしょう。出るまでは僕が手を貸してあげますよ」
そう言うと、カムクラの急な親切に戸惑っている暁を気にもせず歩き出した。
その後を暁が小走りで追いかける。
「本当にいいのか?」
「えぇ、気が向いたのでね」
カムクラが無表情で答えた。










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