第3章 聖なる夜に
翔side
淡々と辛い過去を語る智くん。
本当は言葉にするのも辛い筈なのに…
自然と涙が零れた。
でもそれを気づかれたくなくって、必死に耐えるフリをしてみせた。
俺に話せてスッキリした…、なんてあなたはおどけて言うけど、本当は泣きいのはあなたの方じゃないの?
「ごめん…」
ほら、またそうやってあなたは俺に謝るんだ…
「大丈夫だから…」って、必死に耐えてるのが繋いだてから伝わってくる。
ゆっくりと解かれた智くんの手が俺の髪に触れる。
その手がもう震えていないことが分かった。
智くんはもう決めてるんだ…
俺との関係を終わりにすることを…
「もう無理して俺なんかと付き合わなくてもいいよ…
翔くんなら、俺なんかより、もっと素敵な人が…」
ほらね…
心にもないことを言おうとするから…
その証拠に涙が溢れてるじゃない…
この人頑固だから、一度自分で決めたことは簡単には覆すことはない。
でもさ、こんなヘタレな俺にだって、心に決めたことがある。
「俺は、あなたから離れるつもりはないよ?」
覚悟を口にした。