第1章 Trauma
智side
「…うっ、は…ぁ…、もう…ゆる…し…て…」
突然襲ってきた胸を締め付けられるような息苦しさに、固く閉じていた瞼を開く。
上手く呼吸することも、止めどなく溢れ出る涙を止めることも出来ない。
このまま死んでしまうんではないか、とさえ思えてくる。
「た…す…けて…」
隣で寝息を立てる彼の肩に、震える手を伸ばす。
「しょ…、しょ…くん…」
今にも消え入りそうな声で、彼の名を呼んだ。
「ん…なに…?」
ゆっくり開いた瞼が、一気に大きく見開かれた。
「智くん!」
身体を起こすと、肩で荒い呼吸を繰り返しながら、ガタガタ震える俺の身体を両手で抱き締めた。
背中を擦りながら、
「大丈夫だよ…。 大丈夫だから…」
繰り返し優しく囁いてくれた。
その声と、翔くんの優しい手がとても心地よくって、荒かった呼吸も少しずつ落ち着き始め、冷静さを取り戻していった。