第6章 Piece of My Heart
先生がこっそりくれた、履歴書のコピーを食い入る様にみていた。
これが…和也をレイプしたやつ…
怒りで目の前が真っ赤になった。
でも、今はこいつのことは放っておく。
なるべく和也をこいつから引き離さないと…
和也と施設から帰る時も用心して、タクシーで帰った。
それから一歩も外にでないようにして、引っ越しをした。
小出社長の力を存分に借りた。
和也の保護者の件やらなにやらは、すべて弁護士に任せた。
先生もこれに関しては、全力でバックアップしてくれると約束してくれた。
だから、話はスムーズに進むだろう。
俺達の新居は、世田谷になった。
閑静な住宅街の巨大なマンション。
ここのこじんまりとした一室が俺たちの新しい部屋。
俺達がもともと住んでいた足立からはだいぶ遠い。
問題は和也が新しい環境にどう反応するか。
病院を変わるのとはわけが違う。
なにしろ和也は、一回も引っ越しをしたことがなかったのだ。
18年間ずっと足立区で暮らしていたのだ。
ある意味、あの地域では有名人だったし、その代わり温かく見守ってくれる人もたくさんいたのだ。
ああいう輩もいたけど、和也には暮らしやすい土地だったのだ。