第18章 Buried Alive In The Blues
でも…俺の罪は…
消えることはない
「小出さん…?」
「ん?」
「どうしたの?」
「いいや…見送るのは、もう懲り懲りだ」
智が俺の手をぎゅっと握った。
「もう…暫くないよ…ね?」
目を赤くして…
「ああ…頼むよ?お前ら…」
くしゃっと、その猫っ毛の髪を撫でてやった。
「俺たちは…大丈夫…あいつらの分まで…」
「潤」
「え?」
「お前の命は、お前のものだ。誰かのためになんて生きなくていい」
「小出さん…」
「死んでいった奴らは…そんなこと、望んじゃいねえよ」
「……うん」
「精いっぱい自分の命を生きろ。それだけでいいんだ」
「わかった……」
俯いてしまった潤の背中を一つ、叩いてやった。
そう、お前たちは…お前たちの命を燃やせばいい…
前を向いて、歩いていけばいい。
それが生きてるものの務めなんだ
その日は快晴だった。
雅紀の骨を墓の下に埋めると、背負っていたものが軽くなった気がした。
でも、それは錯覚だ。
「小出さん、じゃあ…」
「ああ…明日から、スタジオ頼むな」
「うん…ありがとね、仕事…」
「礼は城島に言うんだな」
智と潤の仕事にも目途が付いた。
これで心配ないだろう。
二人と別れると、俺は教会の中に入った。
納骨の儀式をしてくれた司祭が後からやってきて俺の顔を見た。
「どうかされましたか…?」
「いえ…祈りを…」
司祭は微笑むと、俺を一人にしてくれた。
椅子に座り、磔にされたイエスを見上げる。
この罪を…俺は赦してもらうことは一生ないだろう…
どんな命であれ、奪ってしまったことは罪だ
だが、一切後悔をしていない俺は…
きっと神には救っては貰えないだろう
それでも…
ここで祈る
死んでいった者たちのために…
俺はここで祈り続けていくだろう