第18章 Buried Alive In The Blues
「Mr…KOIDE」
呼ばれて顔を上げると、ドクターが眉根を寄せて俺の顔を見ている。
顎をしゃくられ病室に入ってみると、やせ細った雅紀が笑っていた。
ドクターは、ここ数日が山だろうと言った。
点滴の管やらなにやらがいくつも雅紀の身体に刺さって、見ているだけで痛々しい。
それでも最初の頃は、それを引き抜いて病室から抜け出そうとするほど元気だったのに、今はそれすらも…
諦めたようにため息をつくと、ドクターは俺の肩を叩いて病室を出て行った。
翔の死から半年…
ここまで長かった
「雅紀…なんか欲しいもんあるか…?」
「小出さぁん…ふふふ…」
ヤクの影響なのか…雅紀はもう現実に生きていない。
時々、とんでもなく過去に戻ることもあれば、昨日こっちに来た潤や智のことをしゃべったりもする。
「ねえ、小出さん…」
「あ?なんだよ」
むき出しになった腕が寒そうで…
空調は効いてるんだけど、やせ細った腕が寒そうで…
布団をゆっくりと掛けてやった。
「俺、いつ戻れるの?早く病院から出たいよ」
「ばか…医者がまだ入院してろって言うんだから、お前はまだ病人なんだろうよ」
「そおなのお…?俺、元気だよお…?」
「あほ。そういうのはな、医者が決めることでお前が決めることじゃねんだよ」