第17章 Pearl
3人で部屋中を探したけど、和也は居なかった。
「警察…電話しましょう…」
美穂さんが携帯を取り出した。
「あっ…」
窓の外を見ていた潤がベランダに飛び出した。
「和也っ…」
俺も美穂さんもベランダに出た。
和也は下の公園のブランコに座っていた。
楽しそうに足をばたつかせてブランコを漕いでいる。
「なんだよ…びっくりさせるなよ…」
ほっとしたその瞬間。
和也がブランコに乗ったまま、天に向かって手を差し伸べた。
そのままブランコは高く跳ね上がって、和也の身体はゆっくりと仰向けに落ちていった。
美穂さんの悲鳴が聞こえた。
潤が部屋を飛び出していった。
和也は頭から地面にたたきつけられて、そのまま動かなかった。
俺は呆然とその場に立ち尽くした。
和也の伸ばした手の先…
翔がいた
和也の手を引き寄せた。
俺にはそう見えた。
汗が噴き出してくる。
美穂さんはしゃがみこんで動かない。
やがて潤の姿が見えた。
和也を抱え上げると、俺に向かって手を振った。
はっとして、スマホを手にとった。
急いで救急車を呼ぶと、美穂さんを抱えて部屋を飛び出した。