第17章 Pearl
和也が熱を出した。
俺たちはとっさに、侑李のことを思い出した。
群馬で侑李は突然高熱をだして、そしてあっという間にこの世を去った。
あれから全てが崩れ去った。
雅紀が再び薬に手を出して…
翔がこの世を去る、直接の原因は雅紀が打った薬のせいで。
侑李さえ、死ななければ…
ガオも翔も生きていたかもしれない。
何度そんな思いに駆られたかわからない。
「病院行こうな…和也」
潤が和也を抱き上げた。
和也は首を振る。
「だめだよ…お熱高いから…」
潤に抱き上げられても、抵抗する力もないようだった。
そのまま大人しく潤の腕に抱かれて車に載せられた。
「智、見てて」
そう言って潤は運転席に乗り込んだ。
俺は後部座席に乗り込むと、和也の身体を抱きしめた。
「大丈夫だよ…お医者さんに診てもらうだけだからね…」
和也は俺の目を見て、いやいやと首を振る。
「そんなこと言わないの…」
ぎゅっと抱きしめると、また前より細くなった気がした。
入院になるかもしれないな…
管に繋がれた侑李の姿を思い出した。
俺が見た時は、すでに息を引き取った後だったけど…