第17章 Pearl
お正月の朝。
潤がしめ飾りをマンションの玄関に飾った。
本当は外に付けたかったけど、管理組合からNGが出てできなかった。
盗難が発生するんだって。
世知辛い世の中だよ…
新年早々、潤は仕事で外出してる。
俺たちはavidを解散せざるを得なくて、今はスタジオミュージシャンみたいなことをしてる。
雅紀は…
ロスの病院で入院したままだ。
小出さんが手配して、そのまま向こうで暮らしてる。
社長代行は城島さんがやってる。
あの人、ミュージシャンよりむいてるんじゃないかな…
潤と俺は、そんなわけで食いっぱぐれることなく生活出来てる。
和也は…
あの後、一緒に帰国して病院に入れた。
でも一向に良くなることはなくて。
潤と俺は、見舞いに行く度に痩せていく和也を見ていられなくて。
先月、引き取った。
病院に入れていても、俺達が世話をしていても大して変わらないと思ったから。
見舞いに行く手間が省ける。
そんなわけで、潤のマンションに俺たちは一緒に暮らすようになった。
「和也、お正月だよ」
和也は、あれからしゃべらない。
声を出すことすら珍しい。
ふふっと微笑むと、夢想の世界へ行ってしまう。