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ROSE【気象系BL小説】

第13章  Move Over


頬に手が触れている。


目を開けると、和也が居た。


白く滲む世界。


和也が微笑む。


「しょう…」


俺は手を伸ばした。


朱に染まった手。


「ああ…これじゃ和也汚れるね…」


和也は、俺の左手を掴んで唇を指につけた。


あたたかい。


「和也…やっと会いにきてくれたんだね…」


「しょう…さん…」


「もっと、名前呼んで…」


「しょうさん…」


指が濡れた。


見上げると、和也が泣いていた。


温かい雫が、俺の手をどんどん濡らしていく。


「おいで和也…」


手を広げると、和也は飛び込んできた。


和也の匂い…体温…


俺により掛かる重さ…


何も変わっていなかった。


「和也…いっしょだよ…」


「しょうさん…」


「これから俺たちは、ずーっといっしょだよ」


「うん…」


「もう誰も邪魔する奴はいないからね…」


「うん…」


ぎゅうっと抱きしめた。


喉の奥から、熱い塊がこみ上げてきて、堪らなくなった。


涙がどんどん出てくる。


身体に力が入らなくて、我慢することができなかった。


でも…


もう我慢する必要なんてない。





俺は、和也の幻想とずっと暮らしていくのだから…
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