第12章 Maybe
翼にまた送ってもらってホテルについて、部屋で報告書を読んだ。
たどたどしい日本語で書かれていて、読むのに苦労した。
集中していると、ドアを叩く音がした。
「誰?」
ドア越しに聞くと、「智」という答えがきた。
中に入れると、入り口で立ち尽くしてた。
「なにやってんの?入れば?」
「あ、ああ…」
ひょこひょこと歩くと、ベッドにぽすんと腰を下ろした。
狭い部屋だから、ソファなんてものはない。
「あのさ…」
「うん?」
「翔はさ、雅紀のこと…」
「…うん」
「雅紀と、話つけてきたの?」
「いいや…侑李いるから、そんな話できなかった」
「そっか…」
「なに?急に…」
「いいや…ちゃんと決着つけたのかなって…気になって…」
「決着…ねぇ…」
「だって…付き合ってたんでしょ?」
「いや…」
「え?そうなの?」
「無理やりだったからな…」
そう言って笑うと、智の顔から表情が消えた。
「もしかして、襲われたの?」
「まあな」
「それは薬やってるとき?」
「うん」
「…あのさ…潤なんだけど…」
「え?」
「あいつも、もしかして薬やってない?」
「え!?」
「俺、襲われたんだ…」