第11章 Tell Mama
日本を発つ日。
俺は先生の墓前に立った。
「先生…」
そう一言呟いて、後は言葉にならなかった。
ごめんなさい…先生。
止められなくて…
先生はご実家の墓に入っていた。
群馬まで、雅紀が車を出してくれた。
高崎市内の、小高い丘に先生の墓はあった。
ご家族は決して先生を見捨てたわけじゃない。
先生のご健在だったお母さんが、どうしてもということで、ここに先生は眠っている。
その先生のお母さんも、今はここに眠っている。
俺が眠っている間のことだから、詳しいことはわからない。
ただ、先生のお母さんは眠るようにお亡くなりになったとだけ聞いた。
こんなにたくさんの人の命を巻き込んで…
たった一人の命を、俺は探しに行く。
「先生……」
何か、言おうとするが言葉にならない。
そこに先生がいるわけでもないし、幽霊が見えるわけでもない。
でも、俺は先生を目の前にしているような錯覚に襲われて…
涙を堪えるのが精一杯だった。
遠くで雅紀がタバコをふかしてる。
強い風が、その香りをここまで運んできてた。
侑李が雅紀の傍で石を投げて遊んでいる。
「先生…」