第11章 Tell Mama
「初めまして。小原といいます」
びっくりするくらい、綺麗な顔をした男が目の前に座っていた。
その男は、小原裕貴と言った。
小出さんが雇っている探偵?
調査屋?っていうのかな…
看板出して仕事してるわけじゃないけど、その道には通じてるので、小出さんは重宝してるらしい。
「和也くんは、僕も4年も調査してますから、他人事じゃなくって…」
屈託なく笑っているけど、その目は凄く用心深い。
コイツはかなりクセモノだ。
「今回、場所が場所なんで、僕が直接出向けなくて、中東人を雇っています」
「まあ、そうでしょうね…政情不安定だし…」
「いえ…そうじゃないんです…俺のこの顔がいけないんです…」
「は?」
「どうも僕、中東の人に好かれるみたくて、男に襲われるんです」
ケロっとして言っているが、襲われたことあんの…?
「あ、何回か襲われました」
またケロっとして凄いことを言った。
「だから、すいません。今回は僕、行けないんです」
「は、あ…」
「その代わり、報告はきっちりさせていただきますんで…」
そう言って小原はまた笑った。
「あ、櫻井さんも、気をつけたほうがいい」
「へ?」
「中東の男の人が、鳴かせたいと思う顔してる」
シレっとそんなことを言った。