第10章 Cry Baby
「翔、なんで?」
雅紀の声が聞こえる。
「意識、戻ってるんでしょ?」
固い声。
「何で起きないの…?」
雅紀がベッドに腰掛ける。
「なんで、目あけてくれないの…?」
唇が触れた。
「なんで…俺じゃだめなの…?」
「まーさーき」
誰かいる。
「侑李…ちょっと待ってて」
「まさき…あそぼ?」
「だから、ちょっとご用事だから、待っててね」
「うー…うー…」
「もう…しょうがないな…翔、またくるね…」
そういうと、部屋から物音が消えた。
ピッピッ…とどこからか機械音が聞こえる。
頭が痛い…
だれだあの子…
雅紀…おまえまで俺を現実に引き戻すのか…
お前は現実が一番つらいって知ってるはずなのに…
誰か…もっと意識を…沈めてくれ
和也と二人だけにしてくれ…
お願いだから
また意識を夢に漂わせる。
和也…
会いに来たよ…
今日も夢の中、行こうね。
”しょうさん…”
和也…
”しょうさん、だいすきです…”
俺もだよ
お前が居ないと、生きていけない