第9章 Farewell Song
「どういうことだよ!?なんでわかったんだよ!?」
風間の胸ぐらを掴む。
だって、コハラの情報だって警察の情報だって、裏の情報だって、まだスイスで止まってるんだ。
なんで風間が?
「だから…老板からの情報だよ…」
風間はこんなのほほんとしたみてくれだけど、暴力団の枝のパシリだった。
枝が蛇頭と取引があって、中国経路の情報をちまちまと私に流していた。
そいつらの取引には、美少年も入っていたからだ。
もしも榎本が和也に飽きて、売られたら、必ず中国のマーケットに出ると踏んだ。
だから、ちまちまでもいいから、風間に情報を流すよう頼んであったのだ。
風間は、私と同じ施設を出ている。
こいつも私の弟だった。
知恵遅れの日本人少年の情報が出たら教えてくれって頼んであった。
風間は和也の話をすると、唇を噛みしめて、それに同意してくれた。
それから5年。
風間はパシリなりに出世したようで、年々掴んでくる情報はなまなましくなった。
時にはその美少年の写真を持ってくることもあった。
でもその中に和也はいなかった。
「本当に和也…?」
「多分。自分でそう名乗ってるから」