第10章 名前と台本 ~H&T~
----翼side----
他の人とは違う
そう言われ嬉しかった
でも男として見られてない気がした
ちょっと勝負に出ることにした
普段は出さない低い声で囁く
すると彼女は腰が抜けたようだ
『つ、翼さん』
涙目で見上げる彼女は上目遣いの状態
「ッ……そんな顔しちゃダメだよ。ごめんね腰抜けちゃった?
今のは…………台本のセリフだよ」
『台本?』
「うん。今度ね、ダミヘってゆう特殊なマイクでの収録があるんだけど、そのセリフだよ」
彼女に嘘をついた
これ以上彼女を混乱させるわけにはいかないと思った
「立てる?」
『はい。なんとか』
「じゃあ、僕は部屋に行くね」
立てることを確かめると部屋に戻るね
僕は弱いのかな
また僕は
脇役なのかな……
----翼side end----