第4章 ♥ギラついたアクター
潤side
俺は松本潤。
いつの頃からか、ファンは俺を“松潤”と呼ぶようになった。
今じゃそれもすっかり定着して、仕事の現場でもそう呼ばれることも多い。
俺の仕事?
勿論、俳優さ。
しかもけっこうな売れっ子だ。
『松潤さ〜ん、そろそろスタンバイお願いしま〜す』
おっと、お呼びのようだ。
衣装さんから、鮮やかな紫色のバスローブが手渡された。
それを素肌に纏い、スタジオ内に組まれたセットに入る。
「潤ちゃん、ちょっとそこ座ってみてくれるぅ?」
俺を“潤ちゃん”と呼ぶこの男。
業界では“おねえ”で有名な監督だ。
監督の手が俺の腰に回された。
その手に押されるように、俺は監督の指示通りベッドサイドに腰を下ろした。
そして何故か監督も俺の隣に腰を下ろす。
腰の手は…そのままだ。
「でね、今日の潤ちゃんの相手役の子なんだけどぉ、初めてみたいなのよぉ。だからさ、潤ちゃんにしっかりリードして上げて欲しいのよぉ。お願いね♡」
いちいち語尾を上げて喋るのが、ちょっと気にはなるが、腕は確かな監督だ。
それにしても、俺相手に新人とは…
どんな子が来るか、楽しみでヒリヒリするよ。