第22章 No.1は誰だ!
担架を切った相手が大事なゲストだってことをすっかり忘れ、
やっちまった…
と後悔した時にはもう遅かった。
ゲストがソファーから立ち上がり、オレの顎を細い指でクイッと持ち上げた。
「名前、聞きたい?」
切れ長の目で見つめられると、心に冷たい風が吹いたみたいで…
身体がブルッと身震いをした。
「俺はね、東山って言ってね? その昔は”伝説のディスコダンサー様”と呼ばれていたんだよ?」
そう言って東山さんはその場で華麗なターンを披露した。
「す、すげぇ…」
思わずオレの口から感嘆の声が漏れた。
「教えてやろうか? 君に俺のテクニックを」
それは願ってもない申し出だ。
「お、お願いします! オレに教えて下さい!」
オレはその場に膝を折り、額が床に着くぐらい深々と頭を下げた。
「よし、教えてやろうじゃないか? さぁ、立ちたまえ」
言われるまま俺はその場にスッと立ち上がる。
「まずは腰だ。いいかい? ここをこうして…」
東山さんがオレの後ろに回り、細い指で俺の腰を支える。
「あぁ、ダメダメ、そんなんじゃ軸がブレてしまうだろ?」
「こ、こうですか?」
「そう、そうだよ、上手だよ」
東山さんの手が腰から脇へと移動した。