第22章 No.1は誰だ!
「紫の間 エントリーNo.1 潤」
「潤さん、ご指名です」
ふぅ…、お呼びのようだな。
さあ、どうやってゲストを喜ばしてやるかな…
「どうぞ、いらっしゃいませ。潤です」
片膝を床に付き、極上の笑みをゲストに向け、お決まりの挨拶をする。
「やぁ、君が”潤”か? 噂には聞いていたけど、綺麗な顔してるよね?」
大抵のゲストは俺の顔を見てそう言う。
褒めてくれるのは嬉しいことだが、いい加減もう聞き飽きたぜ。
「ありがとうございます。ところでお客様? お名前を伺っても宜しいでしょうか?」
ゲストの隣に腰を降ろし、グラスに氷を運びながら訊く。
「あぁ、俺? 俺は坂本だ」
そう言って坂本様は俺の手からブランデー入りのグラスを受け取る。
「潤も飲みなよ」
「では、頂きます」
坂本様が俺に向かってグラスを差し出す。
俺がそれを両手で受け取ると、坂本様がトングで挟んだ氷をグラスに落としていく。
カラン、と小気味いい音が響く。
ボトルからブランデーを注ぎ入れると、グラスが琥珀色に染まる。
「乾杯しようか?」
坂本様がグラスをクイッと掲げて見せる。
「二人の今夜に…」
手にしたグラスを坂本様のグラスに小さくぶつけると、坂本様が口を付けるのを待って、俺もグラスに口を付けた。