第17章 介護ってなあに?
俺達が連れて来られたのは、「介護付き有料老人ホーム ジャニーズ」。
こざっぱりとして落ち着いた外観が、周辺地域の景観にとても良く溶け込んでいる。
一見すると、ちょっとしたマンションにも見えなくはない。
俺達は自動ドアが開くと同時に、揃って受け付けにいた職員に頭を下げた。
「今日は一日お世話になります」
「いえいえこちらこそ。あ、ちょっと待ってくださいね、今開けますからね」
女性の職員がフロント脇のタッチパネルを中から操作すると、二つ目の自動ドアが開いた。
俺達はそこで靴を用意されたスリッパに履き替え、漸く施設の中へと足を踏み入れた。
O「どうして外から開けられないんですか?」
素朴な疑問だよね。
普通のマンションならば、オートロックでもなければ外からでも簡単に中に入れるんだから。
「あぁ、それはですね…あ、こちらにどうぞ?」
『相談室』とプレートの書かれた部屋に通され、俺達は並んでソファに腰を下ろした。
「えっと、さっきのご質問ですけど、この施設には“認知症”の利用者様も多数いらっしゃいます。そういった方の徘徊防止のため、と言ったら分かりやすいかしら?
まぁ、中にはお家に帰りたくて…って方もいらっしゃいますけどね…」
なるほどね…。
防げる危険は未然に防いだ方がいいからね。
O「へぇ、そうなんだ…」
「あら、自己紹介がまだでしたね。私は施設長の山田愛子です。今日は一日宜しくお願いしますね」
施設長だと言った山田さんは、一枚ずつ名刺を手渡しながら、人の良さそうな笑顔を俺達に向けた。