第16章 ♥DVDレンタルしてどうするの?
私は二宮和也。
しがないフリーターをしている。
その私が最近始めたアルバイト。
それはレンタルビデオ店だ。
尤も、最近では“ビデオ”なんてすっかり影を潜め、“DVD”が圧倒的な存在感を示している訳だが…
って、そんなことはどうでもいいか…。
さて、このレンタルショップ。
ジャンル毎に別けられた棚には、沢山のDVDが並べられているんだが…。
一体何枚…いや、何千、何万のDVDが置かれているのだろう?
ジャンル一つとっみても、子供向けのアニメから洋画、邦画、アジアと、実に幅が広い。
それに加えて、「18歳未満立ち入り禁止」の文字が書かれた暖簾で仕切られた向う側。
誰もが一度は気になったことがあるのではないだろうか?
勿論、私もその中の一人。
その隔絶された狭い空間には、一体どれだけの素晴らしい作品が並んでいるのだろう?
実は私はこの空間に足を踏み入れたことが、今だかつてない。
怖いもの見たさで暖簾をチラリと捲ってみたことは…ないわけではない。
でもそこまで。
私にはそこへ足を踏み込む勇気が…ない。
しかしながらこのバイト。
嬉しいことに、人目を気にすることなく、その空間を楽しむことが出来るのだ。
これ程素晴らしいバイトには、滅多に巡り会うことは出来ないだろう。