第12章 ♥家”性”夫は見た?
俺は櫻井翔。
自他共に認める“出来る男”。
そんな“出来る男”の俺が選んだ職は「家政婦」だ。
「家政婦」と聞いて、まず思い浮かべるのは、そうあの伝説的ドラマ「ミタさん」。
そして何と言っても、覗き見が趣味のおばちゃんが探偵の真似事をする、「あらいやだ」の台詞が有名なあのドラマだ。
斯く言う俺も、「ミタさん」には若干の憧れがないわけでもないし、探偵の真似事なんかもしてみたくて、この業界に入ったわけなんだが…
まぁ実際?
あんなのはドラマの中の世界であって、現実はあんなもんじゃない。
そりゃもう“大変“なんて言葉では片付けられないぐらい、「家政婦」の仕事ってのはハードで苛酷な仕事だ。
…とは言っても、俺自身まだ一人で現場に入ったことはなく、諸先輩方のサポートとしての立ち位置でしか現場を経験はしていない。
そんな俺にもとうとう…とうとう独り立ちする時が来た。
登録してあった家政婦協会から連絡に、俺は歓喜の声を上げた。
「よっしゃ~!」
とね…?