第9章 異国
それからあちこちのショップを散策し、
コテージに帰ったのは、ちょうど夕暮れ時。
まさに水平線にもう直ぐ陽が
落ちるところだった。
デッキに座ってゆっくりと
陽が沈むのを2人で見ていた。
ニノは俺に寄り添い、俺は
ニノの肩を抱いていた。
言葉なんていらない...
むしろこの雄大なワンシーンの前では、
どんな言葉も意味を持たない気がした。
そのくらい、素晴らしい景色と
満たされた気持ちでいた。
一年前の俺がこうなることを
予測できただろうか...
答えは、NOだ。
ニノが近づいてくれなければ
大切なものに今も気づかないままだったろう。
すっかり陽が落ち、
余韻だけを雲と空と海に残して...
そのオレンジ色に染まった海の上を、
黒いシルエットだけになった船が、
唯一、ここは天国じゃないと教えている。
俺たちはどちらからともなく、唇を重ねた。
優しく触れるだけのキスから、
次第に激しく舌を絡め、激しく吸った。
ニノ「..はぁ...んんっ//」
ニノから甘い吐息が漏れ始めたのを合図に、
俺はその場に静かにニノの身体を横たえた。
「カズ...好きだ...」
俺の手がニノのTシャツの
裾から入ろうとしたその時、
『ピンポーン/////』
(もう!!!このタイミングかよ!!)
俺とニノは顔を見合わせて笑った。
「ディナーだ!!続きは、後で...」
そう言って、ニノの鼻の頭にキスすると、
ニノは真っ赤になった。