第35章 深夜の訪問者
『日曜日、木村くんにご飯誘われたんだけど、
いってもいい?』
誰かとどこか出掛けるときは、
かずは必ず俺に聞いてくれた。
だから俺も、どこかに出掛ける時は、
その面子を必ずかずに報告した。
「いちいち言わなくてもいいよ」
かずはそう笑ったけど、
でも、隠し事はしたくなかったから…
『俺も一緒に行ったらダメかな?』
そう返信すると、かずから直ぐに帰って来たのは、
『ホントに言ってるの?』と…
「ほんと」
暫くしてから、
『言っといたよ 一緒に行こう』
と、返信があった。
……よし。
木村くんと対決だ!
あ、対決はおかしいな…
でも…
木村くんがどんなつもりなのか、
確かめたいし…
それに、俺…
「松本さん、櫻井さんおねがいしま~す!」
スタッフが呼びに来て、
俺と松潤は立ち上がった。
「「はぁ~い!!」」
何があっても、かずのことは俺が守るし…
それに…
何よりも、
かずを大切にしたい…だから…
そして、木村くんとの約束の日。
俺は仕事が押してしまい、予定の時間に行かれなくなってしまった。仕方なくスタジオの隅でかずに電話を掛けた。
「ごめん!よく謝っといて!終わり次第すぐ行くから~」
『分かったよ。言っとく』
「ごめんね~」
『いいよ…』
「じゃ、また後で…」
『あ、翔!』
「何?」
『愛してる…』
……フフッ、可愛いヤツ❤
俺は残念ながら、近くにスタッフもいたので、
「うん…知ってる…」
とだけ言って電話を切った。
かず…
今頃は木村くんと二人で焼肉、
食べ始めているんだろうな~…
俺は、イケメンの大先輩と二人でいるかずを思って、
胸の奥の、
小さなジェラシーという名の赤い炎が
チロチロと燃えるのを感じた。