第35章 深夜の訪問者
「さて、そろそろ帰ろうかな?
明日早いんだったよな?」
「えっ??」
あ、そうだった!
明日早朝からロケって、
そう苦し紛れの言い訳したのは、俺だった。
↑忘れてたんかーいっ///
「じゃ、ご馳走様!コーヒー美味かったよ」
「いえ、こちらこそ!また連れてってください!」
「おう!今度は櫻井も行こうか?」
「ええ~?イイんですか!!是非…」
玄関まで二人して木村くんを送っていった。
「じゃ、お邪魔しました~」
「また来てください!」
「そだな。今度はゲーム教えてくれよな~」
「はい!」
帰ろうとして背中を向けた木村くんが、
思い出したように振り返って、
「確認だけどさ…」
「「はい??」」
「お前たち、付き合ってないよな?」
//////……(;・∀・)(;´∀`)
「ま、まさか~…」
そう笑ったけど、胸の奥がチクリと痛んだ。
「はあ~///」
「ふう~…」
俺たちはどっと疲れて、ソファーに深く座り込んだ。
「翔、ごめん…」
「驚いたよ~」
「帰ると思ったら、一緒にタクシー下りちゃって…翔に連絡できなかったんだ…」
「いや…仕方ないよ…」
かずは何も言わずにこてっと
俺の肩に凭れかかってきた。
その肩を抱き寄せながら、
俺はさっきの木村くんの言葉を思い出していた。
『お前たち、付き合ってないよな?』
………言う必要は、無かったとは思う。
でも……
かずの髪を撫でながら、
俺はギュッと唇を噛みしめた。
『俺たち、結婚してるんです』
そう言ってやれなかった自分に、
なぜか、無性に腹が立った。
誰にでも、話せばいいってもんじゃない…
だけど……
保身のために、俺…
かずに対して、誠実じゃなかった…
かずは何も言わない。
でも本当は…
心の中では、きっと……