第34章 輝くライトの中へ
【 ニノside 】
もう翔の顔が見れなかった。
夕べ、ベッドで寝る前に、お互いのユニットの衣装の話をしたんだ。
その時、『どんな衣装なの?』と聞かれ、『分かんない』なんて言ってしまったけど。
ホントは言えなかったんだ。
打ち合わせの段階で、最初に決まっていたのが、靴を履かない…ということ。
ダンスの性質上、靴を履くことができない。
「じゃあ、部屋の中にいる設定にしようか?部屋着、みたいな」
と言ったのは松潤。
「部屋着かあ~…じゃ、ペアルック、とか?」
と言ったのは相葉くん。
「ペアルック!いいじゃん」
松潤も直ぐにその提案に乗った。
「じゃあ、パジャマ?」
「脚周りはもたついてない方がいいんだよね…上下黒のスエット、とか?」
「何で上下黒なんだよ~?」
「地味かぁ〜、それじゃ…」
「まあ、隠しテーマが、ユニットバスだから、青か水色?」
松潤と相葉くんがどんどん進めていく。
「ニノは?どんな感じをイメージしてるの?」
「俺?俺は…セーターとか、どうかな?」
俺はなんとなく描いていたイメージを提案してみた。
「セーター?うん…いいね!セーターで行こう♪」
……良かった~(^^;
ペアのパジャマになんかならなくて。
いくらコンサートを盛り上げるためとはいえ。
ファンの子たちを喜ばせるためとはいえ。
ペアのパジャマはないわぁ~(-"-)
もしかしたら俺の取り越し苦労で、翔は何も気にしないのかもしれない…
まあ、それはそれで、ちょっと寂しいけど…
でもね。
俺が嫌だったんだ。
相葉くんとペアが嫌なんじゃなくて、俺が逆の立場だったら。
翔と松潤がペアのパジャマで裸足のダンス…しかも、あんなに密着して顔を近付けるような。
そんなの見てらんない、って。そう思ったから。
ファンがどうこうの以前に、
俺が、嫌だと思ったんだ。