第8章 不安
〔櫻井side〕
その後、俺たちはベッドで
何度も重なり、繋がった。
ニノは俺のことを『翔』と呼び、
俺は『カズ』と呼ぶようになっていた。
外で、うっかり呼びそうで怖いよ...笑
実は、ニノの不安に
しっかりと気付いていた。
言わなくても、そんなの
ニノを見てれば、直ぐに分かるよ。
何年一緒にいると思ってんだ...
心配しなくても、俺はニノだけだ...
お前しか、見てない...
もしも誰かが言い寄ってきても、
よそ見なんかする訳ない。
そう言ってやれば、ニノは
安心するかもしれないな...
聞かれてもいないのに、
俺から言うのは変だ。
というのは建て前で、
やきもきすることで、
不安になることで、
もっと俺に夢中になれよ、ニノ...
今よりもっと、俺のことを
好きになれ!ニノ...
空がうっすら明け始める頃、
俺の腕の中で、小さな寝息を立てる、
愛しい恋人の寝顔を見ながら、
俺は心の中でそう呟いていた。
いつの間にこんなに好きになったんだろう。
そっと頬を触れると、
夢の中にいるはずなのに、
少し微笑むニノ...
この時間が永久であることを、
今、信じたい...