第8章 不安
〔二宮:side〕
エントランスで電話をすると
櫻「ハイハーイ...空けたよ~
上がっておいで」
いつもながらの、優しい低音。
俺は翔ちゃんの部屋の前で、
チャイムを押そうと手を伸ばした。
すると、それより早くドアが開き、
笑顔で翔ちゃんが顔を出した。
櫻「ドンピシャ!」
思わず、抱きつき俺に、
櫻「はえーよ~...」
翔ちゃんは屈託なく笑った。
リビングまで手を引かれてついて行き、
直ぐに翔ちゃんの胸に飛び込んだ。
(あ~...なんて、ここは安心するんだ...)
うっとり目を閉じた俺に、
翔ちゃんのひとことが...
櫻「相葉くんと、焼き肉??」
「えっ!?分かる?」
焦る俺に、茶目っ気たっぷりに
翔ちゃんは笑う。
櫻「そーだなぁ~...何食ったかまでは、
残念ながらいまいち分かんねーけど...笑」
「ごめん! 臭うよね~~///
シャワーしても、いい??」
翔ちゃんは笑顔で、
櫻「別にいいけどね~シャワーするなら、いいよ...」
俺は慌ててバスルームに走った。
ボディソープの甘い香りの翔ちゃんと比べ、
俺は全身から『焼き肉食べました///』
的な匂いが...
「もー!!!!相葉さんったら!!!」
そんなこと知らないし、
会計までしてくれた相葉さんを恨むのは、
違うか...笑
俺は急いで翔ちゃんのシャンプーの香りを纏う。
そして、もちろん
同じ香りのボディソープ...
やっと、焼き肉臭から解放され、湯船に浸かったとき。
脱衣場のドアを開けて、
櫻「着替え、置いとくよ~」
愛しの翔ちゃんの声が...