第6章 嫉妬
映画を観に行くって、
ニノに言ってない。
何をそんなに意識してるのか
分からないけど、
俺と付き合うようになって
映画の番宣をしているときも
ニノは、映画について
何も言わなかった。
気になっていたくせに
俺からも何も聞かなかった。
ニノは俺に観て欲しいのかな~...?
映画は切ない系の内容で進み、
恋人を事故で亡くした女性。
頑なに殻に閉じこもってた彼女の心を
ニノが演じる青年が少しずつ
解かしていく...というもの
序盤からキスシーンはある。
そして、そのシーンは終盤にやってきた。
舌を絡める濃厚なキス...
角度を変えて執拗に繰り返される。
密着する肌と肌...
甘く響くふたりの喘ぎ声...
震える少女のような表情をする彼女を
優しい眼差しで見つめるニノ...
彼女なんかじゃない...
分かってるよ!
俺が言葉にできない気持ちで
見つめていたのは、ニノ...
松潤がいなかったら、途中で
席を立っていたかもしれない...
それほど、このときの俺は
動揺していた。