第25章 雪解
その日。
ドラマのクランクアップを迎えた。
いろんな意味で、過酷なロケだった。
拍手に包まれ、
共演の女優さんから花束をもらった。
共演者も大物揃いで、
正直、気を使うことが多かったので、
終わって、ホッとしている。
打ち上げがあり、
マンションに帰ったのは、
日を跨いでいた。
正直、疲れた....
今は、ただ、
何も考えずに、眠りたい....
そう思っていた。
俺を癒してくれるはずの彼の笑顔は、
今は、ない.....
あれから、毎晩、
『電話しようか...』
『訪ねていこうか....』
と思うのだけど、
俺が絡めてしまった糸は、
思ったよりも、
堅く絡んでんでしまっていて....
簡単には解けそうもなくて……
俺の心と体を、縛り付けていた...
『素直になれよ...
お前はあの人がいないと、
生きていけないくせに....』
そう思えば思うほどに、
俺は、
どんなふうに、
切り出せばいいのか、
分からなくなっていた。