第5章 隙間
俺たちはレストランで
楽しい時間を過ごして、
次に向かったのは埠頭。
工場や倉庫が建ち並ぶ
いくつかの埠頭の中のひとつに
俺はハンドルをきった。
ニノ「入って来ちゃって
大丈夫のとこ??」
と物珍しそうにキョロキョロしていた。
やがて車は闇の中を静かに進み、
埠頭の突端に着いた。
車のフロントガラス越しでも
目の前に広がた景色は、
なんとも幻想的で息を飲むほどだった。
漆黒の闇を背負ってそびえ立つ
レインボーブリッジ……
その反対側には、
キリンの群のような
巨大なクレーン……
遠くには工場の煙が
オレンジ色に漂っていた。
ニノは「出てみてもいい??」
と興奮気味に聞いてきた。
「もちろん♪」
しばらくの間
俺たち2人は黙って
オレンジ色の森に見惚れていた。