第5章 隙間
首都高もスムーズに流れ、
横浜には予定より早めに着いた。
俺たちが滑り込んだのは
市街から少し外れた
高台のレストランの駐車場。
入ると直ぐに、受付の脇から奥に入るので
他の客には顔を合わせない、
俗に言うVIPルームに通された。
ニノ「オシャレなお店だね...♪
さすが翔さん♡」
ニノと向かい合い畏まって座ったが、
何となく落ち着かない。
そんな気持ちを悟られまいと
俺はできるだけ平静を装って言った。
「よかったよ!気に入ってくれて...
なにが食べたい?」
ニノ「翔さんと同じものでいいよ♪」
ニノは真っ直ぐに俺を見ている。
(頑張れ!!俺!!しっかりしろ!)
直ぐにメニューに目を落とし、
俺は適当にニノが好きそうなものを
選んで注文した。
ニノは美味しそうに食べてくれた。
たったそれだけの
ごく普通のことに
心がじんわり温かくなった。