第16章 擦違
俺はその後、大野さんと暫く飲んで、
店を後にした。
次に会ったときも、
大野さんと普通に出来ると思えたとこで、
俺は心底ホッとしていた。
ちゃんと話して良かったんだ。
帰りのタクシーの中で、
ニノに電話した。
二「早かったね~。行ってもいいの?」
弾んだニノの声に、俺の頬も自然と緩む。
「ああ...俺後15分くらいかな~?」
二「りょーかい♡俺も向かうよ」
マンションに着いて、玄関の鍵を開けると、
中からニノが飛び出してきた。
二「おかえりー!!翔♡」
飛びついてくるニノの身体を何とか受け止め、かろうじてバランスを保った。
「来てたのかよ~?」
二「ビックリするかな~?と思って♡」
ニノは、俺の腕の中から顔だけ上げて、
可愛い顔でそう言った。
そんなニノの笑顔に、
『大したことじゃない...
ニノのためなんだから...』
と自分て勝手に思い込もうとしていた、
大野さんとのことが、
胸の中に大きな波紋を広げて行くのを、
感じていた。