第15章 秘密
「夕べ、あの後、ずっと考えてた。
『先に打ち明けてくれたのが、智くんだったら...俺は智くんと付き合ってたのかな?』って...」
大「....」
「答えは....NOだ..
ニノとこうなるのは、
運命だったんじゃないかって..
今はそう思ってる。
そんなニノとのこと、
大切にしたいと思うんだ...」
大「...なんか、こんだけバッサリ振られると、
むしろ気持ちいいよ~..笑
翔ちゃん、ありがとう...
一生懸命考えくれて...」
そう言って笑った大野さんの顔が、
たまらなく切なかった。
「智くん....」
大「ニノとのこと、応援してくよ....
直ぐにはうまく出来ないかもしてないけど、
翔ちゃんの幸せが俺の幸せだから...」
その言葉に泣きそうなのは、
大野さんより俺の方だった。
俺は、智くんに自分の気持ちを伝えた。
ただ、ひとつだけ。
嘘をついたのは、
『先に好きだといったのが大野さんでも、
結果は変わらなかった』と言ったこと。
それは正直、分からないと思っていた。
でも、そこを本音で話すことは、
出来なかったし、
言わない方が大野さんのためだと...
そう思ったんだ。
「これからも、ずっと大切な仲間として、
俺のこと、支えて欲しい...」
大「支えてもらうのは、俺の方でしょ...」
その後の大野さんの笑顔は、さっきより、
いつもの大野さんに近くて、
俺は少しだけ、ホッとした。
大野さんのためにも、ニノには言えない。
『秘密』ができてしまった。