第15章 秘密
半ば事故とはいえ、
抱き合う形の俺からは、
大野さんの顔は見えず...
彼が今、どんな顔して言っているのか、
全く分からない。
手をほどこうにも、
強くしがみついているので、
俺はどうすることも出来ず、
彼にかける言葉も見つからないまま、
何とか冷静になろうとしていた。
大「..なんでニノ..なんだよ...」
大野さんの吐き出すように
言ったその言葉が、胸に刺さる。
「..智くん...」
大野さんはゆっくり俺から離れ、
濡れた目で、俺を見た。
大「....もうずっと、
翔ちゃんだけを見てたよ。
....いつも俺のこと気にかけて、
フォローしてくれる翔ちゃんのと、
気が付いたら好きになってた...」
「..そんなこと...一言も..」
大「言えるわけ無いでしょ!!
男の俺が、男の翔ちゃんを
...好きだなんて...」
「........」
大「近くに居られれば、
それでいいって...そう思ってたんだ...」