第62章 Distance
「斗真…?」
斗真「翔くん…ごめん…」
「え…」
腕を急に引き寄せられ、抱き締められる。
「と、斗真…?」
斗真「俺は翔くんと潤が一緒に居る事が1番なんだって本気で思ってる。でも…翔くんが潤と別れるなら…別れるなら…」
「………」
斗真「………翔くんの傍に居たい…」
グッと斗真の腕に力が籠る。
「………どうして…そんなにずっと…俺の事…」
斗真「何でだろうな。自分がこんなに女々しい男なんて思わなかったよ。でも…翔くんの涙は見たくない。ただそれだけだよ」
「………斗真…」
斗真「………こんな…傷付いてる翔くんの気持ちに付け込む様な事してごめん」
「斗真…謝らないでよ…」
自然と…俺は斗真の背中に手を回していた。
「俺だって…斗真の気持ち分かってるのに…いつもその優しさに付け込む様な事してる…」
斗真「………付け込んでもいいよ…翔くんになら。潤を忘れる為に利用しても…貴方の傍に居られるなら…」
「斗真…」
そっと身体が離れ、斗真に見つめられる。
「………潤の事…愛してる…きっとこれからも…」
斗真「分かってるよ…」
ゆっくりと…斗真の顔が近付いて来る。
逃げないといけないのは分かってる。
こんな事…間違いだ。
でも俺は…
俺は…背中に回した腕に力を込め、目を閉じた。
斗真「愛してる…」
その言葉と同時に、斗真の唇が…重なってきた。