第62章 Distance
翔だけだった。
俺の人生には…12歳の時からずっと翔が居た。
俺の全てだった。
運命の人。
翔しか愛した事はない。
たった一度の過ちだった。
それがこんな事になるなんて…。
手放したくない。
腕の中に居るこの人を…離しはしない。
あの時そう誓ったんだ。
翔「んぅ…や…離して!」
顔を背け、キスを拒んだ翔が俺から逃げようとする。
「嫌だ…嫌だ翔!頼むから逃げないでくれ!」
翔「潤離して!」
「愛してんだ…何でもするから…翔っっ!」
離したくなかった。
その一心で俺は…翔の身体をソファーに押し倒していた。
「愛してる…!俺達はまだやり直せる。そうだろ?」
翔「じ、潤…!痛い…」
翔の怯えた顔。
抵抗していた動きが止まる。
「もう一度…やり直そう。翔の言う通りにする。不妊治療だって…翔が望めばもう一度…」
翔「………止めて…」
「やり直そう?それで…もう一度頑張ろう。な?きっと上手くいく…俺達上手くいくから…」
翔「潤…」
ぽたぽたと…翔の頬が濡れてる。
「っっ…翔…お願いだ…ぐすっ…頼むよ…」
翔「………離して…」
翔が欲しいだけなのに。
愛し合いたいだけなんだ。
分かってくれ…翔…。
翔「じ、潤…」
翔を押さえていた手を動かすと、するりと肌に触れる。
翔「止めてっっ…!!」
そのまま俺は翔のシャツを掴んだ。